油断は禁物

傷口より痛い二の腕

手術は終わったが、これでめでたしめでたしというわけにはいかない。体を元に戻すリハビリが必要なのです。
最初の入院から3か月以上寝たきり生活で体はなまりになまっていました。

とはいえ、無酸素運動は医者・理学療法士から禁止されているので筋トレのような激しい運動はできない。

何故なら今回は心臓付近と脳に繋がるあたりの大動脈を人工血管に置換しただけで、まだほとんどの大動脈は裂けたままの状態。いつまた大動脈瘤が出来てしまうか分からない。油断は禁物です。

そもそもベッドから立ち上がるのも一苦労で電動ベッドを使って上半身を起き上がらせてからでないと一人では立ち上がることもできないし、何より動くとなんか痛いような気がするし、動きがぎこちない。
トイレに行くのすら躊躇してしまうような状態なのに、激しい運動なんて無理な話です。
手術で切った胸部には全く痛みを感じないし、肩の可動域は驚くほど狭いが動かさなければ痛いわけではない。
ではどこが痛いのか? 答えは二の腕でした。

ただ寝ているだけでも痛いんです。この痛みを毎日傷の具合と術後の経過を確認しに来る主治医の先生並びに手術チームの先生方に訴えてみるものの、「原因不明」とのこと。
なんだか今回の私の一連の手術は原因不明なことばかりだ。

これといった薬も対処法もないみたいなので、看護師さんが左腕の下に敷物をして腕を高くしたり、冷やしてくれたりして何とかダマしダマしやり過ごすしかありませんでした。しかしこの対処で少し楽になったのも事実です。

一方、縫合した傷の具合は「申し分ない」ようでした。

リハビリ

回診にくる手術チームの先生方は自画自賛し、どの看護師さんや先生にも「傷跡キレイですね」と褒められました。

そこを褒められても「そうなんですね…」としか答えようがないです。
ソレは先生方の腕がよかっただけです

自分で鏡を見ると《うわっ! なんかエライことになってる!!》と思うのですが、案外綺麗な仕上がりなのでしょう。執刀医並びに縫合をしてくれた先生方に感謝せねばなりますまい。

世はゴールデンウィーク10連休。それは大学病院、その職員についても同様でリハビリ部門も例外ではありません。
「休みの間はこういう運動をしてください」と指示はありましたが、二の腕の痛みで動く気になれません。言われた最低限の運動以外はしようと思えない。
それではダメなのはわかっていましたが、どうしても体が言うことを聞かない。不健全な体には不健全な魂しか宿らないのですよ。

やっと病院が通常業務に戻り、これからリハビリも本番かと思いきや、何というか。う~ん…。
リハビリが緩い?決まった集合時間に集まってみんなで同じ運動をするシステムだったので、参加する人の症状が重かったり、軽かったりと様々。
それに基本的に患者はお爺ちゃんとお婆ちゃんだから、どうしてもそちらよりの運動になってワタシとしては物足りない。
《こんなんで大丈夫か?》と思いましたが、そういうシステムなので仕方がない。

それで満足できないなら自分で独自に運動すればよいだけですが、そんな元気はありませんし、なにより《バックリ胸が開いたら嫌だ》と思ってしまう。
そんなこんなで結局は決まったリハビリだけをして過ごす毎日。

次第に体も動くようにはなってくるが、なんとも体がしっくりこない。
まるで自分の体ではないような感覚。
《こんなに鈍くさかったか?》と思ってしまいます。

のけ反るような動きは胸がバックリ開くんじゃないかと思うと怖くてできない。
“何か”でがっちり固めてあるだろうから、実際には簡単に開くことはないだろうけど…。怖い。なにせ小心者なもので。

そんなこんなでリハビリがうまくいってるのかどうなのかよくわからない日常が過ぎていきました。

またですか!?

と、ここでまた例の大学病院特有のシステムが発動します。
急性期ではないワタシはリハビリのためだけに居ることができないのです。

で、またもや最初の病院へ転院することに。
実際には退院の許可が出たのですが、「今帰ってこられても一人で家にいるときに何かあったら心配で仕事にならない」と家族に言われて

  1. 寝た状態から一人で起き上がれるようになること
  2. ある程度歩いても疲れないこと
  3. 5キロくらいの荷物を持っても大丈夫なようになること

以上の条件が満たされるまではリハビリをするよう通達され、大学病院の主治医の先生にそう伝えると、最初の病院への転院手続きをしてもらえました。

転院があっさり決まったのは主治医の先生同士が同級生で今もLINEで連絡を取り合う仲だったことが幸いしたのかもしれません。

今日の教訓

健全な体には健全な魂が宿るかもしれないが、不健全な体には不健全な魂しか宿らないんじゃないかなぁ

最後まで読んでいただき ありがとうございました

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