転院&転院

決まった日

もう何度目の転院だろう。

3回目ですよぉ

病院をいったりきたり、今なら卓球ボールの気持ちが少しは分かるような気すらします。
しかし今回は転院してくるなり数名の医師に囲まれるという緊迫した状況。
部屋も病室ではなく、なんだかわからない部屋(あまり長く居たい部屋ではない)。

あちこちから手術の日程や何かを相談する先生たちの声が聞こえてきます。
ワタシの耳に「今日やった方が」という声が聞こえてドキっとしました。
転院早々手術?でも先生たちの都合であればそれも致し方ないでしょう。

〈覚悟〉はできていないが、《もうどうにでもしてくれ》という〈諦め〉はできている。
その後、先生たちの相談の結果、手術は明日決行と決まりました。
「今回は緊急手術なので待ったなし。余程のことがない限り中止はない」と告げられます。

ここで1人の先生(多分担当医の先生)が「結局そちらの都合のいい日に決まりましたね」とニコニコしながら話しかけてきました。
そう。明日は例の占い鑑定士が“良き日”として手術を希望した4月25日だったのです。

当初、手術に緊急性を要しないという病院側の意見に反して、なんとしても手術の日程だけは“良き日”に合わせるべく諸々理由をつけてきたたわけですが、それはウソも方便というやつです。
たとえ大動脈が裂けていても、「占いで決めました」なんてことは口が裂けても言えません。

境地

その後一旦ICU(集中治療室)へ。
そこでもまた数名の看護師さんに「手術怖くないですか?私なら怖いですけどねぇ」と聞かれるのですが、改めて聞かれるとそりゃ怖いに決まっています。
《思い出すから余計なことは聞かないでくれ》と思わなくもなかったのですが、看護師さんが心配する程の難しい手術だと改めて痛感させられます。

死ぬ確率も10%であれば安心はできない。
怖くない訳はない。だからワタシはあえて考えないようにしていました。よく言えば無心、実際は他人事のような感覚でしょうか。

バタバタしたままに緊急転院し、手術日程の決定と実際考える間もなかったです。あえて考えたのは、《成功確率が90パーセントもある》ということだけ。
術後の後遺症については残ったら残ったときなのですが、《後遺症が残ったら世話をする家族に申し訳ないなぁ》と思い、それだけは避けたかったと記憶しています。
さすがに《後遺症の程度次第では…》ってことは考えましたねぇ。

その後手術前の最終確認がされます。
手術の手順や麻酔の件、ワタシからは“本当に輸血はA型で間違いないのか”という最終確認(笑)、その他もろもろの話があり、ついに手術を迎えることになります。
《こういう場合遺言を残すべきなのか?》と思わなくもなかったのですが、残すような気の利いた言葉も思い浮かばなかったし、モメそうなモノもないのでやめました。
それに手術直前に遺言なんて縁起悪いでしょ?

ついに手術の日

ストレッチャーに寝転がって手術室に向かうワタシに看護師さんが「頑張ってください。また明日ICUで待っています」と優しい言葉をかけてくれました。
《頑張るのはワタシじゃなくて先生たちですけど(笑)》と思いつつ、「ありがとうございます。行ってきます」と笑顔で応えます。

最後は手術前にICUに来ていた家族に見送られ「爺ちゃんとかに呼ばれても絶対にそっちにはいかないように」と釘を刺されました。
少し前に祖父とワタシがお世話になっていた知人の父親が亡くなっていたので。
「命の危険があるときに誰かが呼ぶ声が聞こえて、そっちに行ったらアウト。現世に戻ることを考えないといけない」みたいな事を聞くこともありますが、《果たしてそんなドラマみたいなことがあるのか》と思いつつ、ストレッチャーに乗せられて手術室へ。

手術チームの先生 数名が待つ手術室に入ると、そこは何とも不思議な空間でした。
全体的に青い感じの部屋。
天井に見えるのはステンドグラスか。
室内にはワタシが20代の頃の流行曲が流れています。
我ながら《緊張はしていないな》と思いましたが、心電図にはどういう波が映しだされていたのでしょうか(笑)

次々と先生たちが声をかけてくれたのに全く覚えていません。
そのうち口にマスクを装着され「ゆっくりと深呼吸してください」と言われて深呼吸。
しばらく深呼吸をしても意識があるので、‟なにか”変更が行われた様子。
そして再び深呼吸。
これがこの日最後の記憶となりました。

生還

目が覚めると、そこは見覚えのあるICU
誰かが「私が誰かわかりますか?」と聞いてくるが、見覚えはない。
正直に「すいません。わかりません」と答えると、「ひどい。明日ICUで待ってますって言ったじゃないですか」と言われてしまいました。
そういわれると昨日の看護師さんのようではあるのですが、昨日はマスクをしていて今日はマスクをしていないからわからなかったんです。

当然ながら手術中の記憶はない。
川を挟んだキレイなお花畑の向こう岸から誰かに呼ばれた覚えもない。

命の危険が‟なかったのなら”当然か

手術室で目を閉じて目を開けただけなのに、何故か一瞬の間にICUに戻って来ている、という不思議な感覚。

20時間程 経過していたみたいです

ちなみに

アキレス腱を手術したときは部分麻酔だったので、手術中に足をグイグイ引っ張られる感覚があったんですよねぇ。
そして手術の様子をモニターで見せてくれたけど、そんなのを見たい人っているのかな?

「暇でしょ?これでも見ます?」と手術の様子をモニターで見せてくれた気がするけど…。
折角のご厚意でしたが、裸眼だと何も見えなかったので寝ました(笑)

今日の教訓

マスクをすると誰だかわかりづらい

麻酔ってすごい

最後まで読んでいただき
ありがとうございました

次回「手術の結果

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