手術の結果

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手術後のカラダ

目が覚めたのを確認した担当医の先生が「落ち着いてください。起き上がろうとしないでくださいね」と優しく釘を刺してから当たり前の質問をしてくる。

稀に「麻酔から覚めた途端に混乱して暴れる人がいる」らしいです

「ここがどこだか分かりますか?」
「お名前は?」
「今日が何日か分かりますか?」
目の前で矢継ぎ早に質問してくる(ように感じた)男の人を見て 一瞬《誰?何?》と驚きましたが、頭を急激にフル回転して現在の状況が理解できました。
ここがどこなのか、自分の名前までは分かったのですが、最後の質問はわかりません。
《今日は何日? どれくらい寝てた? そもそも今何時だ!?》

答えようとするものの《何かしゃべりづらいな》と思っていると、担当医の先生が喉にツッコまれていた管を抜いてくれました。
抜かれた管は心臓に酸素を送るためのもので結構な長さ。
それでもまだワタシの体には鼻、首、腹、尿道、太ももなど数本の管が刺さったままになっています。

担当医の先生は「これでしゃべれるし、ご飯が食べられます」とおっしゃるが、前日の夜から絶食していたにも関わらず食欲はない。
うなずいてから「ここは〇〇病院。名前は〇〇。今日が何日かは今何時なのか分からないので分かりません」と答えて異変に気付く。声がかすれてガラガラだ。

12時間を超える手術の後だったので仕方ないと言えなくもないのですが、ワタシの声はもっとキレイで澄んでいる・・・はず?
まぁキレイで澄んでいなかったにしても、間違いなくこんなにガラガラではない。
そして異常に声が小さい。

「さっきまで喉に管を通してあったので仕方ないです」と担当医の先生に言われると《そうですか》と思うしかない。

さらに嬉しそうに先生は「手術は当初の予定よりうまくいきました。大動脈弁も取り換える必要はありませんでしたし、腎臓もご自身の腎臓が働いてくれました。輸血も用意した30人分できっちり足りましたし、手術も12時間程で済みました」と。
ここまではよかったが、その先が怖かったと記憶しています。

衝撃の事実

「昨日手術やってよかったです」という一言。
ワタシが《ん?なんでだろう・・・》そう思ったのと同時に、先生から告げられた衝撃の事実。

「心臓に血液が癒着していて結構危険な状態でした」と笑顔でおっしゃる。
《結構危険? いやいやいや・・・。ソレ笑って言うこと!?》と思わなくもなかったのですが、手術の成功は先生方のお陰。
成功したからこそ笑っていられるのか。

ここは素直に感謝しておこう。ん???
心臓の付近に溜まってる液体って・・・。
「それが血なら既に死んでいます」って聞いたような記憶が・・・。
まぁ、手術は成功したんだから いいか。

フツーの生活へ

そんなこんなで、とりあえず食事を食べてみる。
食事といってもいわゆる“おかゆ”です。
以前、同部屋で隣のベッドにいたおじいさんが看護師さんに「手術後おかゆを8割も食べた」と自慢気に語っていたのを思い出し、あまり食欲はなかったのですが、おかゆを全部食べて《勝った》と一人ほくそ笑みました。
残念だったのは喉が渇いても水分制限があるので、なかなか水を飲ませてもらえなかったこと。

次にリハビリ担当の理学療法士のかたがやってきて「じゃあ立ってみましょうか」と悪魔のささやき。
《どれくらい前かは知らないけど、手術が終わったばっかりなのに?》とビックリしたので「もう立つんですか?」と確認すると、「最近のリハビリはこういうものです」とおっしゃるんだからそうなのでしょう。

手術前、室内以外移動禁止になるまではあちこち歩き回っていたおかげか、何とか立つことはできました。
するとその様子を見ていた看護師さんがやってきて「手術後すぐICUで立っている人を初めて見ました」と驚いていたのですが、本来〈大動脈解離〉を引き起こすのはご高齢の方で、そのような方々に手術が終わってすぐに立てというのは酷な話でしょう。
まぁ、違う理由でいる患者さんも多いだろうけど。

おや?「最近のリハビリはこういうものです」じゃなかったっけ???

その後ICUに家族が面会に来てくれたのですが、そこで奇妙なものを見たそうです。
ワタシが寝ているところからは見えなかったのですが「“何か透明なプラスチックのようなもの”がICUのパソコンの横に置いてあった」と。
透明の液体に浸かっていて、「キレイか汚いかでいうとキレイだった」らしい。
曰く「魚のウロコをかなり厚めにしたようなやつ」と。

後になってワタシの担当医の先生に聞いてみると「アレはあなたの大動脈の欠片です」とのこと。
〈大動脈解離〉を引き起こすには若すぎるので、何らかの遺伝的疾患等がないか検査に出すためにとっておいたのを置き忘れていたそうです。

ムリだとは思うけど、《できれば記念にソレを頂きたかったなぁ》と思う。
《せめて写真に撮っていないか》と思いましたが、さすがにICU内は撮影厳禁なので仕方ありません。
とはいえ、手術に向かう直前にICUのベッドに横たわるワタシと脇に立つ家族の姿が妹のスマホに残っていたのは秘密です(笑)

我が妹ながら、よく撮ろうと思ったなぁ

結局、何が原因かはわからなかったのですが、〈心不全〉〈腎不全〉〈大動脈解離〉すべての原因として共通するのは〈高血圧〉。
ゆえに「今回の一連の原因としても高血圧が濃厚であろう」というのが大学病院の出した答えのようでした。 

今日の教訓

ICUでは時間の感覚がなくなる

大動脈の破片はプラスチックっぽいらしい(私は見ていない)

最後まで読んでいただき
ありがとうございました

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